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※妄想による二次創作です。ご注意ください。
※「郷巡り編」も造語です。何かと被っても偶然です。
※初めての方はパラグラフ001からどうぞ。
その日の吹雪はあまりにも激しすぎた。
あるいはもっと雪の降るペースが穏やかであれば。
あるいは沙都子が柱の異音に気付ければ。
あるいは沙都子にこまめに雪かきをする体力があれば。
あるいは沙都子に誰かに助けを求めてでも生きる気力があれば。
だが、その時には、いずれもが無かった。
だから、この事象は「絶対」である。
猛吹雪の中、沙都子ハウスは倒壊した。
中で就寝していた沙都子は、いくつかの柱の断末魔を聞いた後、暗闇と冷たい強風に包まれた。
吹雪の中。誰にも聞こえはしないが、最後の力を振り絞り、沙都子は何事かをつぶやく。
「……」
辺りには、吹雪だけが鳴いている。
……。
……。
……。
次の日。
沙都子ハウスが倒壊しているのが発見され、情報は村中に行きわたった。
「沙都子ぉーーー!!! 沙都子ぉーーー!!! 沙都子ぉーーー!!! 沙都子ぉーーー!!! 沙都子ぉーーー!!!」
「やめなよ詩音! 私たちが手を出したら危ないよ!」
「そうだよ。今は消防署の人たちの仕事を待つしかないよ。私たちが邪魔したら余計に時間がかかるだけだよ」
「そんなんで沙都子が助かるんですか!? ここで待っていれば!? 私が突入して一秒でも早く助けた方が助かる可能性が高くないですか!?」
今にも屋根のすべてをひっくり返しそうな勢いの詩音は、数人がかりで押さえつけられていた。
しばらくした後、沙都子ハウスの中から、沙都子の遺体が運び出される。
「沙都子ぉーーー!!! 私が、私が雪かきに来ていれば!!! 私が沙都子を部屋に連れ出していれば!!! 私が沙都子をぉーーー!!! あああああーーー!!!!!」
詩音の慟哭は雛見沢村中に響き渡った。
……。
……。
……。
沙都子ハウス倒壊直後のどこかの場所。
「梨花、これで会えますわね。ごめんなさい、ねーねー……」
沙都子の最後の言葉を聞いていたのは、誰かだけだった。
→ 14へ行け
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