※妄想による二次創作です。ご注意ください。
※「郷巡り編」も造語です。何かと被っても偶然です。
※初めての方はパラグラフ001からどうぞ。
久しぶりに梨花の夢を見た。
後から考えると、こういうのを「虫の知らせ」と言うのだろうか。
その時は電話により訪れた。
「はい。北条です」
「あ……、沙都子ちゃん……、ですか」
監督だった。入江診療所からかけている電話にしては早い時間だ。
「監督ぅ! お久しぶりですわね!」
「沙都子ちゃん、少し時間良いかい?」
「え? デートのお誘いですの!? メイド服でも着させる気ですの!?」
「いや……そういう訳ではないんです……」
小学生の頃のノリで監督を茶化してみたが、どうも乗ってくれない。今日は予定もなかったので、入江診療所にいる監督に会いに行った。
入江診療所。
あの昭和58年の事件があって、監督はしばらくの間不在だったが、戻ってきてからはずっと診療所にいた。
監督ならば、もっと大きな病院に行ったり、研究施設に行けそうな気もするのだが、雛見沢村に何かこだわりがある様だった。
「それで、要件はなんですの?」
「ああ……、何と言うか……。その……」
あの監督が歯切れが悪い。いつもなら、大真面目な顔をしつつメイド服でも出してきそうなものだが……。
……。
……え?
「今何と言いましたの? 何を言っているかわかりませんでしたわよ」
「古手梨花さんが、お亡くなりになりました」
え?
梨花は、ルチーア学園でハイソサエティな学園生活をしているはずだから、お亡くなりになんてならない。
監督は何を言っているのだろう。
梨花に名前のよく似た、そう例えば、古戸ヱリカさんという人が亡くなったのかな?
「それで、古戸エリカさんが亡くなったのと、わたくしと何の関係があるんですの?」
「……。沙都子ちゃん……」
え?
どうして監督は怪訝な表情なの? 監督のボケに対して真面目に問いかけただけなのに。
「その別人のヱリカさんでは無くて、梨花ちゃんです。梨花ちゃま。ルチーア学園に通っていた古手梨花さんです」
「だって、梨花はルチーア学園に通っていますわ……」
その日のことはそこまでしか覚えていない。
監督の話を要約すると「古手梨花がルチーア学園で事故にあって亡くなった」となる。
それを私が理解して納得するのに数日を要した。
数日の間、入江診療所に緊急入院し、やっと自体が飲み込めたが、私は抜け殻になった。
もしも、私が一緒にルチーア学園に行けていれば、梨花は死なずに済んだのではないか……。
たとえどんな手段を使ってでも、ルチーア学園に行けていれば、梨花を助けることができるたのではないか……。
それからの日々はよく覚えていない。
学校は登校拒否した。梨花が帰ってこないなら、もう高校を卒業する必要もない。
食事も拒否した。梨花が帰ってこないから、もう食べる必要もない。
詩音さんや魅音さんやレナさんや圭一さんや監督により強制的に食事をとらされたりしたが、私は生きる屍だった。
時が過ぎ、今夜は大雪。凄い降り方で、心なしか柱がギシギシ言っている気がする。
真っ白な雪。私の心にも積もって、梨花がいなくなったことを忘れさせてくれないかな。
今日はそろそろ寝よう……。
「ギシッ」
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